活動報告:2023年度第1回学習会「民間企業とのWIN-WINの関係の築き方~企業への提案力・企画力を伸ばすには?アクションの事例から~」を開催しました 2023.9.21

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2023年度第1回学習会の報告です。

「民間企業とのWIN-WINの関係の築き方~企業への提案力・企画力を伸ばすには?アクションの事例から~」を2023年9月21日(木)に開催しました。講師は、NPO法人アクション 代表 横田宗氏です。司会はJPN運営委員の内山順子氏(NPO法人DAREDEMO HERO理事長)がつとめました。

NGO団体と企業の連携について、アクションでは実際どのようなことを行ってきたのか、事例をもとにお話していただきました。JPNの会員を中心に呼びかけ、JPNの正会員、賛助会員、団体職員など、7名が参加。冒頭に、運営委員の森脇祐一氏(認定NPO法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会 常務理事)が、JPNの活動を紹介し、開会の挨拶をしました。

講師のお話:横田氏

★アクションについて★
フィリピンのオロンガポに事務所を構えるNPO法人アクション(ルソン島中部・ザンバレス州)は、孤児院に入所している子どもへのサポートや施設職員の育成、子どもたちが経済的・精神的に自立するためのプロジェクト「チカラプロジェクト」などを実施しています。

(講師の横田氏:手に職をつけて将来の職業を得るためのハサミノチカラ、夢中になれることを見つけて、心身を強くするためのチカラ ダンスノチカラ/カラテノチカラ/フットサルノチカラを紹介)

ハウスペアレント研修に使用する教材づくりを行い、フィリピンの社会福祉開発省(DSWD)に提案し、フィリピンの国の教材としても使用されています。ライフスキル教材の作成や研修、フィリピンでの認知向上とファンドレイジングを行っていることを紹介しました。

「2010年ぐらいからはフィリピンで資金を集めている」
フィリピンは経済成長していて、毎年物価が6%、10%程度上がるために、毎年同じ活動をするためには物価が上がった分多くの円を集める必要があります。円安の時期に円を集めることが大変だった経験や持続可能性の観点から、フィリピン国内で資金を集めているそうです。MNL48(マニラ48:フィリピン・マニラを拠点に活動する女性アイドルグループ)が出演するイベントの開催やYouTubeでの発信を行い、フィリピンのメディアでも積極的に取り上げられています。

★企業との連携
実際にアクションが連携している3つの企業を紹介。
・シチズン時計(株):時計で知られるCITIZENとのプロジェクトでは、フィリピンのキッザニアで子どもたちが時計づくりに挑戦し、シチズンの工場や代理店を見学。
・江崎グリコ(株):お菓子のメーカー“Glico”から貧困地域の子どもたちへのワークショップを行い、ストリートチルドレンや貧困層を集めたサッカーの後のおやつとして提供。
・日本電計(株):子どもたちにデザインの楽しさを教えるため、Canvaの使い方ワークショップを実施。学習タブレットの寄贈。

「(企業に)飛び込みでの連絡はしたことはない」
電話をかけて何か一緒にできないかと自分からアプローチするのではなく、ネットワークを築くことや企業が行う事業について、かなりの勉強をするそうです。企業との打合せが設定された際の提案力や企画力についてご自身の体験をもとに、お話しいただきました。

横田氏が意識していることは、外部とのネットワークで、NGO以外の業界の人と付き合う必要性です。車が好きという趣味や興味を生かし、フィリピンの車業界ともつながりを持っています。

フィリピンの民間企業との連携で、SPAの経営、TikTokショップ(日本ではオンラインショップはなし)を経営することで雇用を生み出し、また新たな事業を展開中だということをお話しました。

「NGOも会社も人に必要とされていなければ、存在していけない。歴史があり、大きな会社は社会に必要なものを把握して作り出して、そこに対して価値を見出す人がいて、お金を払って続いている。必要とされているものを分析して提供するという意味ではNGOも同じだと思う。NGOがいい活動だと思っていたとしても共感をされていなければお金は集まらない」

「支援をする側、される側、というのではなく、一緒によりよい社会を作っていくためのパートナ―として知恵を出し合いましょうという観点で、様々な会社と連携している。支援者という感じではなく、その会社とアクションが組むことでしかできないという事業を作るのがアクションの事例」と、アクションの事例をもとに大変貴重なお話を聞かせていただきました。

参加者との意見交換

「横田さんの話を聞いていると楽しい。このような人と一緒に何かできたら楽しい、うまくいくのではないかというパーソナリティは、フィリピンでは特に重要だと思う」
「ライフスキルの講座は具体的に、彼らにどうプラスになると考えるか?」
「日本の子どもの教育もしているか?」
「アクションのYouTubeチャンネルはある?」
ここでは紹介しきれないほどの様々な質問や意見が寄せられました。

横田氏からは、ライフスキルの講座では感情のコントロールができるようになったことを聞く、日本では算数教室を行っている、と回答しました。YouTubeチャンネルではあまり発信していないけれど、発信の仕方の工夫やしていることや、現在取り組んでいることについて話しました。意見交換の時間は1時間程度あり、参加者の皆さんからの質問をきっかけに、良い意見交換の場となったと思います。

閉会の言葉

「横田さんが企業との連携で成功されているのは、ひとつに彼のパーソナリティにあり、そしてその発想力である。「チ力ラ・プロジェクト」などユニークな事業名である。さらに、姿勢がオープンでNGO仲間や、財団、大学、行政機関等とのネットワークを広げている。そして企業の形態によって目線を変えてアプローチするなど戦略的である。日本の中にアクションのようなNGOが増えていくことが日本のNGOの活性化を進め、フィリピンはじめ諸外国の人々との関係改善につながるだろう」と、運営委員代表の伊藤氏は挨拶しました。

「自分たちが楽しく輝いていることで、NGOは大変そうというイメージを払拭したい。自分たちが楽しまないと後に続かないと思う」と司会の内山氏が締めくくりました。

(参加者の皆さんと)

報告:シャープ茜

【協力団体】

講師:横田宗氏(NPO法人アクション 代表)JPN正会員団体・運営委員

司会&ファシリテーター:内山順子氏(NPO法人DAREDEMO HERO 理事長)JPN正会員団体・運営委員

開会挨拶:森脇祐一氏(認定NPO法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会 常務理事)JPN正会員団体・運営委員

閉会挨拶:伊藤道雄氏(認定NPO法人アジア・コミュニティ・センター21 代表理事)JPN正会員団体・運営委員