活動報告:学習会第5回「今からはじめる国際協力~自ら踏み出す第一歩~」を開催しました 2023.2.22

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学習会シリーズ「現場から学ぶ国際協力~はじめの一歩から行動に移すまで~」の最終回である第5回の報告です。

第5回の学習会「今からはじめる国際協力~自ら踏み出す第一歩~」を2023年2月22日(水)に開催しました。小学生、大学生、社会人の7名が参加。講師は、吉永 幸子氏(NPO法人LOOB JAPAN 理事長(共同代表)/国内マネージャー)です。司会の内山順子氏(NPO法人DAREDEMO HERO理事長)が、第1回から第4回の学習会で学んだ内容について振り返りを行いました。

講師のお話:吉永氏

学習会当日の2日前にフィリピン出張から帰ってきたばかりという吉永氏が初めてフィリピンに行ったのは大学2年生の夏休み。首都と地方のフィリピンを学ぶスタディツアーに参加。夜の街をめぐるツアーで、20歳から路上で暮らす40歳の女性と出会ったことがターニングポイントとなりました。20年間路上で一人で暮らしていて何か怖かったことはなかったかと、他の学生がその女性に質問。「昔はあったけれど、今は私のことを皆が怖がるから私は大丈夫」と笑って言ったその女性の言葉に衝撃を受け、このような女性や人を地球上から出したくないと思ったことが国際協力の道に進むきっかけでした。

(講師の吉永氏)

吉永氏が理事長を務めるNPO法人LOOB JAPANが活動するのはフィリピン、パナイ島のイロイロ市。「一方的な支援ではなく、現地の人と共に学び成長すること」というモットーを大事にしているそうです。

団体の活動内容を動画で紹介。イロイロ市郊外カラフナンにあるごみ処理場の様子やごみ山に住む子どものインタビューの内容でした。ごみ山に住むことの大変さは、天候や衛生面。学校で「臭い」といじめてくる子どもには、その悪臭の原因は彼らが出すごみが原因ということを教えたそうです。人生で成功するために勉強を頑張り、シェフになりたいと話していました。フィリピンでは小学校でもドロップアウトがあるため、家庭の経済状況や先生や教室の不足が原因でドロップアウトしてしまう子どもがいます。LOOBの活動では学資援助や学校教育以外の活動であるノンフォーマル教育、教室の建設という教育支援を行っており、10年間の活動でドロップアウトする子どもの数が4分の1に削減されたことが紹介されました。

国際協力とは多岐に渡る内容がありますが、吉永氏は、地球に生きる全ての子どもたちが学校に行けること、夢を持つことができること、夢に向かってチャレンジできるために、その礎を作りたいと話しました。

子どもたちを学校に行かせるために、まず始めたのは、家計のサポート(フェアトレード)。理由は、買い物が好きで、好きなことから始めようと思ったからです。「エシカル」という言葉は、思いやりを持った買い物や行動。友達や地球にどんな影響を与えてしまうのかを考えるのが「エシカル」で、国際協力に通じる言葉だそうです。

LOOBのユースたちのプログラムである、コミュニティライブラリーの活動が紹介されました。コミュニティライブラリーは、家で宿題ができない子どもたちが勉強できる場所で、LOOBのオンラインプログラムに参加した日本の中学生が、SDGsについて学び、フィリピンの社会的課題について考え、何かできないかとクラウドファンディングを立ち上げたことがきっかけとなったそうです。活動紹介の動画に出てきたごみ山に住む男の子が、現在は大学生になり、運営を支えています。

ごみゼロの社会を作るワークショップで、ごみは可能性がある資源であることを伝えていることや、フィリピンでユースたちが大人に対して、「私たちの出しているごみ問題」を伝え、アドボカシー活動を行っているというお話を聞きました。

「共に学び成長するために」は、相手の人が生きてきた文化背景を理解することや、どこでどんなふうに生きてきたのかを知ることだといいます。「フィリピンは、大切な人たちが住む大切な国。世界中に大切な国があり、大切な人がいると、自分が生きる地域だけではなく、相手の国のことも自分事化できる。それが、国際協力にとって大切」と吉永氏は話し、「世界と仲良くなるチカラが国際理解。国際協力のはじめの一歩を踏み出していただけたら嬉しい。はじめの一歩を踏み出すヒントとして、LOOBではインターンを募集している」と、話を締めくくりました。

(フェアトレードの商品)

 

吉永氏のお話の後、フィリピンでのごみの処理の仕方や、日本とフィリピンのごみの状況について質問や意見が寄せられました。この学習会シリーズの第2回は、ごみ山について、第3回は環境問題がテーマでしたので、「ごみ」という話題で話が発展していきました。

参加者との意見交換

5回の学習会シリーズの最終回として、「自分がどういうアクションをしたいか」について、それぞれが紙に書き、発表しました。その一部を紹介します。
「自分が住んでいる地域で、海洋ごみについて興味を持ってもらいたい」
「フィリピンで話されている言葉を理解すること。現地の言葉を理解することが国際協力の第一歩」

「まだ一歩を踏み出せていない人に対して、より多くの人が一歩を踏み出せるようになるためにどのような工夫があるか」、という質問が寄せられ、「第一歩を踏み出すには、楽しい、美味しいところから踏み出すこと。気づいたら実は誰かのためになっていたというアプローチもある」と、ファシリテーターの小池氏が回答しました。

閉会の言葉

学習会に参加しただけでも大きな一歩を踏み出している。すでに何十歩も踏みだしている方もいたが、それぞれのアクションについて話し、今日この場でつながれたことが第一歩。学習会に参加した皆さんが、お互い一緒に協力できるような仕組みがつくれたら、参加者の皆さんが一緒にアクションできるのではないかという提案をしたいと思う、と小池氏が挨拶しました。

講師の吉永氏より、意見交換の中で「楽しい」というキーワードが出てきた。LOOBでは、「楽しくなければボランティアではない」というのをキャッチフレーズにしている。楽しいことが一番長く続くと思う、とコメントをいただき、第5回の学習会を終了しました。

学習会シリーズ「現場から学ぶ国際協力~はじめの一歩から行動に移すまで~」として5回の学習会を開催してきました。最終回のこの会では、吉永氏より、国際協力を始めるための一歩を踏み出すためにはどうしたらいいかというアイディアを伺い、後半では参加者した方々と良い意見交換をすることができました。この学習会で終わるにはとても惜しく、皆さんがつながれる仕組みができたらよいのではないかという提案も出ていました。今後、そのような機会を提供していきたいと思います。

参加者の皆様、講師やファシリテーターの方々、ご参加いただきどうもありがとうございました。

(参加者の皆さんと)

報告:シャープ茜

【協力団体】
講師:吉永 幸子氏(NPO法人LOOB JAPAN 理事長(共同代表)/国内マネージャー)JPN準会員団体

司会&ファシリテーター:内山順子氏(NPO法人DAREDEMO HERO 理事長)JPN正会員団体・運営委員

ファシリテーター:小池絢子氏(認定NPO法人WE21ジャパン 民際協力室・事務局次長)JPN正会員団体・運営委員