活動報告:学習会第2回「ゴミ山で笑顔で生きる人々~貧困とは何か?幸せとは何か?~現地インターン生の体験報告付き」を開催しました 2022.10.4

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全5回の学習会シリーズ「現場から学ぶ国際協力~はじめの一歩から行動に移すまで~」の第2回の報告です。

第2回の学習会、「ゴミ山で笑顔で生きる人々~貧困とは何か?幸せとは何か?~現地インターン生の体験報告付き」を2022年10月4日(火)に開催しました。講師は、内山順子氏(JPNの正会員団体:NPO法人DAREDEMO HERO理事長兼現地法人DAREDEMO HERO INC.代表)とYUNA氏(現地でインターンをする大学生)。

インターン中の大学生のお話もあり、「ゴミ山」のことに関心がある大学生が多く、49名が参加。半数以上が大学生で、大学の先生、フィリピンに好き・関心がある社会人が集まりました。親子での参加もあり、最年少は小学5年生!司会はJPN運営委員の小池絢子氏(認定NPO法人WE21ジャパン 民際協力室、事務局次長)が務めました。

講師のお話 1:内山氏

フィリピンのセブ島で活動するDAREDEMO HEROの内山氏は、「社会を変えていくことにより、子どもたちが夢と希望を持てる社会を作っていきたい。貧困層が自ら問題を解決する力をつけること」を目指していると、団体のミッションとビジョンをお話しました。奨学生に対する教育支援、ラーニングセンターを設置し地域への支援、文化交流と、様々な活動をしている中で、一番大切にしているのは、「貧困問題を根本的に解決すること」。

この学習会の題名でもある「ゴミ山で笑顔で生きている人」にフォーカスして、幸せとは何かを考えることをテーマにお話しいただきました。セブ島にあるゴミ山や、パグパグと呼ばれる残飯の中から食べられるものを探している様子を映像で見ました。「その様子を見て、可哀そうと思うかもしれないけれど、フィリピンの人はこういった食事でも『今日も無事で過ごせた』『家族みんなで食べられる』と笑顔で食べている」そうです。

(ゴミ山の地域の子どもたち)

内山氏が「幸せって何?」「貧困って何?」と問いかけ、参加者がチャット機能で回答していきました。それぞれの回答を見ながら、貧困とは不幸なのか、それは周りが可哀そうだとレッテルを貼っているからではないかと、内山氏は話しました。

最後に、ゴミ山の地域で暮らす親子のインタビュー映像を通して、フィリピンの人がどんな時に幸せを感じるか、幸せになる秘訣について見ていきました。

「近所の人たちや子どもたちがいてくれたら幸せ」
-子どもは「たくさんいる」という、ちまきを作って生活しているお母さん
「収入が少ないという問題はあるけれど、いつも小さなことに感謝して生きれば幸せな気持ちになる」
-職業はスカベンジャー(ゴミを生活の糧にしている人たち)で、5人の子どもを持つお母さん

(5人の子どもを持つお母さん)

 

「フィリピンの人は、日々感謝をして生きている。ゴミ山で生きる人は支援者の対象者みたいに見られがちだけれど、彼らから学ぶことはたくさんある。彼らは恵まれない人で、支援が必要というだけではなく、見方を少し変えて、一緒に幸せになれるような方法を探っていけたらいいと思う」と、内山氏がお話を締めくくりました。

講師のお話 2:YUNA氏

内山氏がYUNA氏にインタビューをする形でお話が始まりました。DAREDEMO HEROでインターンをするYUNA氏は日本の大学の国際学部で学ぶ大学生。元々自分の当り前の暮らしに疑問を持つタイプで、社会学を主に学んでいるそうです。

質問:世界中に色々ある中でなぜフィリピン、なぜDAREDEMO HERO?
—大学のゼミを通して団体名を知っていた。
活動内容に感銘を受けた。「奨学金をもらった子どもたちが、将来のフィリピンを変えていく」というビジョンに惹かれたことや収支報告・活動報告がしっかりしているから。

質問:実際にどんな活動をしているの?
—支援地域へ行って支援のお手伝い、訪問者のアテンドやSNSとブログの更新、日本語教室での授業。毎日SNSを投稿していて、「個人で投稿するのとは違う」。

質問:今、楽しいことは?
—フィリピンの文化を体験することや、日本の文化を伝えること。

質問:大変なことは?
—語学力が足りない。英語はあまり得意ではない。英語が通じても、教育を受けていない人は英語より現地語のビサヤ語の方が話しやすいので、フィリピン人スタッフを通して話すのが悲しい。匂いがひどいし、日差しが強いから体力勝負なのでよく休むようにもしている。

質問:インターンを検討している人にひとこと
考えている方は、とりあえず行ってほしい。百聞は一見にしかず。日本で調べて分かった気になっていたが、現地に行ってみて初めてわかることがある。

もうすぐインターンが終わって日本に帰るというYUNA氏による現地でのインターンの様子は、とてもリアルで、説得力のある内容でした。

 

(YUNA氏の現地での活動の様子)

参加者との意見交換

講師2名のお話の後は、4つのグループに分かれて意見交換を行いました。

各グループで出たお話とは?
—留学生がいてインターナショナルだった。日本だけではなく、中国やインドネシアの方が問題を解決しようとしているのがよかった。
—大学生が一番多かった。沖縄や中国の方がいて、セブ島との共通点について話していた。
—大学の先生、小学5年生もいて年齢層の幅が広かった。幸せとは何かとあらためて考えさせられたという感想が多かった。「小さなことでもひとつひとつに感謝して、自分にできることを探して、勇気をもって活動していこうと思った」。
—たくさん質問が出て、講師の方に聞きたい内容を皆さんとシェアしたい。

最後に

全体の振り返りで、「フィリピンの人は助け合って生きていることが幸せだというのはその通りだと思う。一方で、ゴミ山のように不衛生なところで、周りの人が病気になって苦しむという状況を体験することが多いのではないか。日本は経済が発展して、衛生面がよくなっているが、人とのつながりが薄くなっている。フィリピンは、家族や現在との周りの人とのつながりがあるままで発展していけるのか?」という質問に対して、内山氏は、「フィリピンでは、国や経済が発展してきて、衛生面も少しずつ発展してきている。外国のNGOが支援していく中で、現地の人が大切にしているものを尊重して、それをしっかり理解した上で支援しなければいけない」と内山氏は回答しました。

「皆さんの中で学びが多く、価値観が変わったのかなという気がする」と、司会の小池氏が振り返り、第2回学習会を閉会しました。

(参加者の皆さんと)

報告:シャープ茜

【協力団体】

講師&ファシリテーター:内山順子氏(NPO法人DAREDEMO HERO理事長/JPN正会員団体・運営委員)

講師&ファシリテーター:YUNA氏(NPO法人DAREDEMO HERO インターン/大学生)

司会&ファシリテーター:小池絢子氏(認定NPO法人WE21ジャパン民際協力室、事務局次長/JPN正会員団体・運営委員)

ファシリテーター:TAKA氏(NPO法人DAREDEMO HERO スタッフ)