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学習会「フィリピン・リスペクト教育に学ぶ多言語・多文化教育の在り方」を開催しました

2019年12月09日

学習会「フィリピン・リスペクト教育に学ぶ多言語・多文化教育の在り方 」を開催しました

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 2019年9月30日(月)、東京都新宿区にある(特活)フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)となりの会議室をお借りし、日比NGOネットワーク(JPN)の本年度第2回学習会を開催しました。講師として岸本紗希氏をお迎えし、「フィリピン・リスペクト教育に学ぶ多言語・多文化教育の在り方」をテーマに学びました。JPNメンバーの(特活)フィリピン日系人リーガルサポートセンターの猪俣典弘氏が司会・進行役を担い、参加者としてJPN正会員団体のスタッフ、非会員のNGOスタッフ、学生等計16名が集まりました。
 

 JPN運営委員代表の伊藤道雄が冒頭で、「リスペクト教育はありとあらゆる分野において応用できるのではないか。互いに尊重、尊敬し合い、自分の『個』を表現し、相手の『個』を構成する歴史、文化、価値をも尊重することが大事なのではないか」と話しました。「個人を尊重する」ということで、10代~70代、高校生、大学院生、企業の退職者、といった様々な背景の参加者15名による自己紹介を行い、本題へと移りました。

 岸本氏からは、今、多文化・多言語教育を考える意義、多言語環境としてのフィリピン、リスペクト教育について、フィリピンでリスペクト教育を実施している先住民族リーダー育成財団(英語名:Tribal Leaders Development Foundation, Inc.、以下TLDFI)の活動の様子について、発表がありました。
 外国人在住者が多くない地域で育った岸本氏ですが、英語教師だった母親の影響で、早い時期から外国人をホストファミリーとして受け入れたり、海外に留学したりする機会に恵まれていたようです。岸本氏が多文化・多言語に注目する理由として、国際的な移民が約2.6億人、国内移民が7.6億人に達し、7000以上の言語が存在する多様な世界において、人が持っている言語や文化が常に移動している状況を挙げました。また、日本国内に目を向けてみると、今後「特定技能」や難民等、ますます在留外国人が増える傾向にあり、それに伴い、日本の教育の現場においても、外国にルーツを持つ子どもが増え、日本語指導等、特別な配慮に基づいた対応ができる人づくり、環境づくりが必要になることを話しました。
 上記のような変化に応じて、今後日本においても多様化する教育の現場で抱えるであろう課題の解決にヒントを与えるかもしれないものが、「リスペクト教育」です。岸本氏は(特活)アジア・コミュニティ・センター21が行っている「アジア社会起業家育成塾」10期生として、2018年9月に約1週間南コタバト州ティボリ・ミュニシパリティにある先住民族リーダー育成財団(TLDFI)でインターンシップを行い、リスペクト教育を導入している学校訪問やTLDFIオフィスでの作業の補佐などを体験しました。

 TLDFIは1986年ティボリ族初の医師免許取得者により創設され、環境保全、社会保障サービス、自動保護、女性のエンパワメント、教育といった様々な分野で支援を続けている団体です。様々な事業のうちの1つが、オランダ人により提唱された「リスペクト教育」の推進です。岸本氏がインターンシップを実施した当時は、ティボリ・ミュニシパリティとレイクセブ・ミュニシパリティにある4つの小学校が対象となっており、そのうち3校を訪問し、リスペクト教育導入前後の生徒と教師の変容についてインタビューを行いました。
 岸本氏は、公教育の場における多言語・多文化理解の実践を学ぶことをインターンシップの目的としていたため、フィリピン政府による「母語を基礎とする多言語教育(英語名:Mother Tongue-Based Multilingual Education)」の導入があっても、学校により民族の割合や主要な使用言語が異なる地域では多様性をカバーすることは難しい、と説明しました。そして、子どもたちの居場所を作るためには、国家政策を補うための地方自治体や学校のサポートが必要だろう、とまとめました。  参加者からは、フィリピンの学校教育についての質問や、リスペクト教育を導入している地域と人びとに関する質問、リスペクト教育の伝授法についての質問などが寄せられました。講師の岸本氏を囲んだ参加者間の意見交換は終了時間になっても絶えることがなく、参加者それぞれの経験や知識から、活発な意見交換がなされました。
  

 生徒と教師という関係においてだけでなく、自分と異なる相手を尊重すること、そして何より自分も周りから貴重な一個人として認められ居場所を持てる環境づくりは、今後「特定技能」や難民といった在留外国人がますます増えるだろう日本においても重要となることを、参加者全員が実感できたと思います。岸本氏の発表を聞き、一人でも多くの人が互いを尊重し合う環境づくりに貢献されることを期待しております。


                                              (報告:堀部)