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ミンダナオ・マラウィ避難民第5回現地視察報告

2017年10月27日

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ルンビア保健センターは、ドイツの援助団体(ヨハンニター・インターナショナル財団、The Johanniter International)の支援を得てバライ・ミンダナオ財団が建設しました。この建物の別館は、フィリピン政府の資金で建設されました。

カガヤンデオロ市のルンビア・バランガイ(人口:25,955人)にあるルンビア保健センターの外観。カガヤンデオロ市はミサミス・オリエンタル州(Province of Misamis Oriental)の州都です。カガヤンデオロ市の人口は675,950人で、フィリピン国内で10番目に人口が多い都市です。フィリピン軍とイスラム過激派(IS)との武力衝突が起きたマラウィ・イスラム市からの避難した人々はイリガン市などの避難民センターに収容されていますが、避難民センターでの暮らしは、生活環境が劣悪で、病気になっても多くの人々は適切な保健医療サービスを受けることが出来ません。そのため、多くの避難民はさらに移動してカガヤンデオロ市の知人や親戚宅で避難民生活を送っています。マラウィ・イスラム市からカガヤンデオロ市までの距離は120キロあります。避難民はルンビア保健センターで無料の健医療サービスを受けています。公立の保健センターでの保健医療サービスは、地域住民にはすべて無料です。近隣のバランガイには保健センターの施設がないため、周辺のバランガイの住民はルンビア保健センターを訪れて保健医療サービスを受けています。


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ルンビア保健センターでは、地域の女性に子宮がん検診と避妊インプラントの保健サービスを提供するお知らせが掲示されていました。この地域に移動してきたマラウィ避難民の女性は、この保健センターで無料の子宮がん検診と避妊インプラントのサービスを受けることができます。避妊インプラントは、妊娠可能年齢の女性が選ぶ中長期間の避妊法のひとつです。避難民は親戚や知人宅で避難生活を余儀なくされており、経済的にも非常に苦しい生活を送っています。そして多くの避難民の女性は望まない妊娠を避けるために避妊を望んでいます。


保健センターで無料の家族計画サービスの提供ができるようになったのは、2012年12月に「親としての責任とリプロダクティブヘルスに関する法律2012年(Responsible Parenthood and Reproductive Health Act of 2012)にベグニノ・アキノ3世大統領が署名して発効したためです。2017年1月、ドゥテルテ大統領は貧困対策の一環として避妊具を無料配布するように政府各機関に大統領令で指示をしました。フィリピン国内には600万人(推計)の女性が避妊具を手に入れられない状況にあるといわれています。大統領令は、貧困女性200万人に避妊具を2018年までに提供することを優先課題としています。家族計画による避妊は、望まない妊娠を避けるだけでなく、妊娠出産に伴う妊産婦死亡率も減らす波及効果があります。フィリピンの妊産婦死亡率は出生10万対114(国連人口基金・世界人口白書2016年)です。近隣のアジアの国々の数値と比較すると、タイの5.7倍、スリランカの3.8倍、マレーシアの2.85倍、ベトナムの2.1倍です。そのため、フィリピンの開発分野でも、母子保健・妊産婦保健の改善が課題です。

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女性が家族計画サービスを受けるために保健センターに行く際に、夫の同意を得ることが難しい場合があります。その結果、女性は避妊サービスを受けられません。夫が反対をする理由のひとつに、家庭が経済的に貧しくても多くの子どもを望む夫の意見は強いためです。女性がいつでも相談できるホットラインの電話番号が掲示されています。
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ルンビア保健センターに勤務している助産師。保健センターを訪問する女性の相談に助産師は当番制で対応しています。妊娠中の女性で合併症の症状がない場合は、この保健所で助産師が立ち会い出産をすることができます。イスラム教では、金曜日を「聖なる金曜礼拝の日」として定めていますので、金曜日はイスラム教徒の休日です。保健センターは、日曜日にイスラム教徒の女性が来訪しても対応できる体制をとっています。

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避難センターでおもちゃの銃を持って無邪気に遊ぶ子ども。この子どもは、「将来は兵士になり、困っている人を助けたい」と話をしてくれました。

お昼時間を利用して、イスラム教の3名の若者リーダーと話をする機会がありました。マラウィ避難民には多くのイスラム教の若者や子どもたちも含まれており、学校に通うことができません。写真の若者は、ボランティアとしてイスラム教の子どもや若者にトラウマの治癒や平和教育普及の活動を続けています。多くのイスラム教の若者や子どもたちはマラウィ・イスラム市に戻り、学校に通いたいという希望です。マラウィ避難民には、「心の平和」が大切であると話していました。バライ・ミンダナオ財団の社会心理学トレーニングを実施する際に、イスラム過激派(IS)について疑問を持たない若者がいるそうです。そのためイスラム教の住民、若者、学校の教師への平和教育は非常に大切です。ミンダナオの平和構築を一層促進するためには、イスラム教の若者や子どもたちへの継続的な平和教育は大切な基本です。毎週土曜日の午前8時から12時まで、イスラム教の100名の子どもたちは、近くの小学校に集まり勉強を始めました。避難所ではマドラサと呼ばれるイスラム学校が自主的に始まったと説明がありました。


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マラウィ避難民に飲料水を供給するため、地域の広場の一角に貯水タンクを設置して雨水を貯めています。フィリピンではスコールと呼ばれる熱帯特有のにわか雨が降るので、雨水を有効利用しています。
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貯水タンクが設置されている広場は、地域の若者がバスケットボールを楽しむ場所でもあります。この広場の施設は、雨が降っても住民がバスケットボールをすることができるように屋根で覆われています。この屋根を有効に利用して、降った雨水を貯水タンクに集めています。
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貯水タンクに集められた雨水は、自治体が所有する消防局の給水車で避難民センターを巡回して運ばれます。そして、各避難民センターに保管されている雨水濾過装置を使って、安全で清潔な飲料水を作り避難民に供給しています。