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大型台風30号(ヨランダ)から1年

2014年11月07日

大型台風30号(ヨランダ)から1年


 2013年11月8日、大型台風30号がフィリピンを横断し、大雨、強風、洪水、鉄砲水、高潮により甚大な被害が広範囲にもたらされました。あれから1年、フィリピンは国をあげて、災害支援・復興活動に取り組んできました。

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キナプンダン行政区

 日比NGOネットワークでは、フィリピンのカウンターパート比日NGOパートナーシップともに、大きな被害を受けた被災地のひとつ、東サマール州で被災者の緊急支援を行いました。現在は、東サマール州に加え、パナイ島アクラン州で生計手段の回復や小学校の校舎再建などの復興支援を続けています。JPN事務局の西島は、現状と事業の実施状況を確認するために、10月と11月に数日間事業地を訪問し、フィリピンのNGO関係者の集会に参加しました。以下、現地からの報告です。

 被災地の訪問前の情報収集では、復旧が進んでいるとのことでしたが、現地を訪問すると、ヤシの木が被害を受けた地域ははげ山となり、屋根のない校舎やテント生活者も見られました。


■東サマール州の被災地の現状

 東サマール州は、強風、大雨、高潮で、ヤシの木の林や漁船が甚大な被害を受けました。災害発生直後に現地を訪問したとき、ヤシの木は投げ倒され、葉は落ち、家屋は崩れ、学校などの建物の屋根も吹き飛ばされており、人々は支給される支援物資に頼っていました。

 1年が経ち、今は、樹木に緑が戻り、田んぼには稲穂が見られます。1年前、屋根がない家が多くありましたが、現在は、支援により提供された波板(G.Iシート)に替わった家もあり、遠くから集落を見ると、家がきらきら光って見えます。新しい校舎や屋根が見られる学校もあり、元気に学校に通う子どもたちの姿が見られました。様々な支援活動により、農民・漁民組織が結成され、組織化、能力向上の研修が始まっているとのこと。復旧・復興は確実に進んでいます。


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家を修復中のメルカドさん。屋根は国際NGOからの援助で取り付けた。現在、日比NGOネットワークの支援活動のひとつ、蟹の養殖活動に参加している。豚小屋のみ崩壊せずにすんだため、台風被災後から今もまだ豚小屋で生活しているとのこと <br>(キナプンダン行政区サンタ・クルース村)
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国際赤十字のキャッシュ・フォー・ワークで支援された住居
(キナプンダン行政区マビニ村)


















■課題は生計手段

 一方で、現在の課題は生計手段の回復・再建です。日比NGOネットワークが支援する東サマール州キナプンダン行政区マビニ村の農民の被災前の主な生計手段は、ヤシの実による炭づくりでした。しかし、ヤシが甚大な被害を受け、実を得ることができなくなりました。ヤシは植樹しても実をつけるのに、短いもので5年程度、在来種だと10年位かかるそうで、別の収入手段が必要となっています。稲作を行う農民もいますが、農民によると、ヤシの炭作りの収入が断たれた今、コメの種を購入する現金がないことが問題とのこと。

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マビニ村の農民たち

 災害後、行政やNGOが、清掃活動、住居の建設などで働き、その労働の対価を得る「キャッシュ・フォー・ワーク」プログラムを実施し、現金を得る機会となっていましたが、そのほとんどが終了してしまいました。来年、3月までにはすべて終了するだろうとのことです。

 多くの農民は自らの土地を持たず、土地を借りており、灌漑がなく、農業を振興するには非常に厳しい条件です。しかし、農民は「これからは農業に力を入れ、自らの食糧保障だけではなく、(農産物を)販売し収入を得ることができるようにしたい」とのこと。現在、他のNGOから野菜の種や農具などの支援を得ていますが、コメの種がないとのこと。日比NGOネットワークは現地NGOを通して農民たちの耕作用水牛の購入を支援していますが、農民たちはコメの種の購入を強く希望しており、残り2頭の購入計画を変更しコメの種の代金に充てることについて現地NGO関係者との話し合いを行う予定とのことです。


■支援活動からの学び―フィリピンのNGO関係者の集会にて

 フィリピンでは、災害後1年を記念し、様々な行事や祈祷が行われています。11月4日、5日、フィリピンの代表的なNGOが集まり、これまでの経験を共有し、今後の活動について話し合うための集会が催されました。「緊急支援における住民の参画の重要性」、「様々な側面を取り入れた包括的な地域復興支援の必要性」、「地域の災害時の対応能力の向上」などが話し合われました。そして、フィリピン社会福祉長官や予算長官などの主要な行政関係者を招き、政府の対応についてNGOとともに話し合いました。予算長官によると、復興予算は3年間で約1兆700億フィリピンペソに上ります。約100万軒の住居の復旧・再建、537の学校の修復、または再建、教科書は600万冊、農民・漁民、約700万人の生計手段の回復を必要としています。フィリピンでは、住民参画による予算形成が進められていますが、住民の合意形成に時間がかかること、また、汚職防止のため複数の承認プロセスを経なければならないことなどを説明し、とくにインフラ関連の建設事業は、現在、承認プロセスにあるものが多く、実際の建設は2015年度になるだろうとのことです。

 「様々な課題はあるものの、確実に復興の兆しはあり、前進している。これからも共に力を合わせ努力を続けていきたい」と、参加していたNGOの事務局長は話していました。