活動報告:学習会第1回「国際協力って何?~パイオニアから学ぶ現場のリアル~」を開催しました 2022.9.6

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学習会第1回「国際協力って何?~パイオニアから学ぶ現場のリアル~」を開催!

JPNは、本年度の主要事業として、国際協力に関心を持つ大学生や20~30代の社会人を参加者の主な対象に、全5回の学習会シリーズ「現場から学ぶ国際協力~はじめの一歩から行動に移すまで~」を企画しました。本報告は、第1回学習会の内容の概要です。

第1回の学習会は、2022年9月6日(火)に開催した「国際協力って何?~パイオニアから学ぶ現場のリアル~」。JPNの正会員団体であるNPO法人アクション代表の横田宗(よこたはじめ)氏、認定NPO法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会事務局長の野田沙良(のださよ)氏に初回の講師をしていただきました。参加者は、学生(主に大学生、なんと小学生も!)やフィリピンが好き・関心があるという社会人、合計13名でした。

冒頭に、JPN運営委員代表の伊藤道雄より「国際協力に関心を持つ学生が集まるということで、自分の学生時代を思い出していた」と、国際社会への夢を膨らました大学時代、最初の職場の仕事を通してNGO活動に関心を持った経緯とアジアの現地NGOsとの協力体験を回想しつつの挨拶。司会はJPN運営委員でありNPO法人DAREDEMO HERO理事長の内山順子氏が務めました。

講師のお話①:横田氏

「普通の会社で働いたことがない。小学校では落ち着きがない子どもでした」、そう語る横田氏。フィリピンのピナツボ火山の噴火で被災した孤児院を知り、高校3年生の時に一人で行ったのが初めての海外。楽しいよりも、フィリピンの人にお世話になったことが印象に残り、フィリピンの人に恩返しがしたいと、帰国後に行動したことが現在のアクションという団体の始まり。今のようにインターネットやSNSを使って不特定多数の人に発信できる時代ではなく、電話帳で調べるという地道な連絡をしたそうです。その立ち上げ時のことを大切にしておられ、自分が高校生ということに躊躇せず、あちこちに電話をして行動したおかげで「今の自分がある」といいます。手段が増えた現在では、「行動を起こすというのは、お金とか時間ではなく、ちょっとしたことをやるかやらないかの違いだと思う」。

(アクションの横田氏)

「住んでいる地域の一員として感じる社会の課題や日常生活の課題から活動を作っていきたい。自分たちは外国人。どんなに自分たちがいいと思い、いい提案をしていても、フィリピンの人にいいねと思ってくれる人がいなければ自分たちの活動は成立しない。そこに共感して、パートナーとしてやってくれているフィリピンの人がいてはじめてできる活動なので、そこに対して感謝を忘れずに、リスペクトしながらやっている」、とお話されました。

講師のお話②:野田氏

「私とはタイプが違って、横田さんはスケールが大きい」と冒頭に感想を述べたのが、もう1人の講師、野田氏です。心のアップダウンがあり、メンタルが弱いという野田氏は、その経験により、「弱さ」が自分の特徴でもあると自己紹介されました。国際協力の仕事をしたいと思ったのは高校生の頃から。「バンドの追っかけをしすぎた」大学時代では、3年生から行動をし始めて4年生の時に、フィリピンのゴミ山やスラムをめぐるスタディツアーに参加。貧困や暗いというイメージを持っていたところ、フィリピンの人たちはパワーを持っていて、しんどい瞬間がありながらも喜怒哀楽という同じ感情を持っていると気づいたそうです。

(アクセスの野田氏)

ゴミ捨て場の近くで暮らしている女性が自分の娘に「パグパグ」(残飯から食べ物を拾い、再調理して食べること)をさせることが辛いと話していたことを聞き、そのように自分の大切な人を危険にさらして生活している人を目の当たりにし、国際協力をするには力不足だと感じた野田氏。そう思い詰めていた時に相談した相手から「自分の生活をより豊かにするための選択ができたはずなのに、フィリピンにやってきて、しんどい人の暮らしをよくしようという選択をしてくれた。それだけで充分なんだよ」と言われたことが救いとなりました。その方は、貧困を支援するだけではなく、どうして貧困が起こるかという原因を知ることが大事と言って行動していた方でした。

フィリピンでアクセスのインターンをした後に、職員となり、アクセスで働いて15年。支援できる人の数やフェアトレードの売り上げが伸びていくことも嬉しいけれど、関わっている人の生きる力や変える力が伸びていく瞬間が本当のやりがいを感じるそうです。「今まで自分ががんばってきたことにOKを出す。先延ばしせず、今できることから行動を」とお話をしめくくられました。

参加者との意見交換

参加者は、インターンシップ中の大学生、綺麗な海を守るためにごみ拾いをしているという小学生、フィリピンが好き・関心があるという社会人。2つのグループに分かれての意見交換をしました。

「フィリピンや貧困の問題に関心がない人たちに、フィリピンの魅力やフィリピンで起きていることを伝えるためにどういう努力をしているのか?」という質問がありました。「人は、自分が信頼している、または好意を寄せている人の大事な国や物に興味を持つと思う。だから私がどう生きているかをその人に見てもらい、私が大事に思っているフィリピンはどういう国なんだろうって興味を持ってもらうことを大切にしている」と、野田氏が回答。

司会の内山氏による、「何から始めたらいいかわからない人がいると思う。自分のアクションを見つけてもらうのが全5回の学習会。ここに本日参加されている方は、すでに第一歩を踏み出している」との言葉で第1回学習会を閉会しました。

(参加者の皆さんと)

報告:シャープ茜

【協力団体】

講師:横田宗氏(NPO法人アクション代表/JPN運営委員)

講師:野田沙良氏(認定NPO法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会 事務局長/JPN正会員団体)

司会&ファシリテーター:内山順子氏(NPO法人DAREDEMO HERO理事長/JPN運営委員)

ファシリテーター:小池絢子氏(認定NPO法人WE21ジャパン民際協力室、事務局次長/JPN運営委員)