第2回日比NGOシンポジウム 開催報告(2008年7月17日~19日)
- テーマ:
- 「ミレニアム開発目標に向けてフィリピン貧困層のエンパワーメント ―日比NGOのパートナーシップ構築―」

- 開催地:
- 東京
- 会 場:
- 日本青年館(東京都新宿区)、国際文化会館(東京都港区)
- 参加者:
- 両国NGO(日本から約60団体、フィリピンから21団体が参加)、政府関係者、一般市民 約200名
- 背 景:
- 2006年11月に開催した「第1回日比NGOシンポジウム」での行動計画をもとに、日比NGO間のさらなる相互理解の促進、協働関係のさらなる構築、「日比NGO協働基金」の実現に向けた理解者・支援者の拡大、日比の市民社会セクター間の協力の輪の拡大を目的として、実施しました。
- 成 果:
-
- フィリピンの現地NGO23団体が参加し、日本のNGOの実態と日本社会についての理解を深めました。
- 日比NGO間の協働事例を紹介・共有し、分科会では協働事業の具体化に向けて積極的に意見交換を行い、各分科会で行動計画がまとめられました。
- 基調講演者、来賓としてフィリピンからホァン・フラビエー氏(前フィリピン上院議員、フィリピン保健長官、NGOリーダー)、在日フィリピン共和国大使、日本からは現職の国会議員を招き、両国のNGO活動についての理解と支持を得る機会をもちました。また、日本の対比ODA実施の中核となっている日本の外務省と国際協力機構(JICA)関係者との対話の場を設け、相互理解を促進しました。
- 日本に滞在するフィリピンの人々と一般市民の参加を得て、フィリピンからの出稼ぎ労働の実態について、NGO関係者と市民の間で理解を深めることができました。
- 「第1回日比NGOシンポジウム」で提案された行動計画に沿い、今後の行動計画を「東京宣言(PDF)」としてまとめました。同宣言には「日比NGO協働基金」構想が明記され、実現に向けた具体的な活動を開始することを日比NGOが確認しました。
※本ページでは、シンポジウム当時の役職名を記載しています。
シンポジウムの様子(概要)
◆第2回日比NGOシンポジウム1日目(2008年7月17日)
<開会式>

開会式では主催者挨拶後、中山太郎衆議院議員(日比友好議員連盟会長(当時))と、在日フィリピン共和国ドミンゴ・シアソン大使(当時)より来賓挨拶があり、メッセージが寄せられました。
<基調講演>

「民主主義と貧困者のエンパワーメントとNGOの役割:日比NGOへの期待」
ホアン・フラビエー氏(前比国上院議員、比国保健長官、NGOリーダー)(当時)
ホァン・フラビエー氏(前フィリピン上院議員、フィリピン保健長官、NGOリーダー)(当時)は、「貧困の現状は収入だけで測ることは困難であり、貧困削減には経済面、社会面の両方の視点が必要である」と述べ、「NGOは行政や私企業と連携を行い、開かれた活動をするべきだ。事業の運営にしても、受益者が意思決定に参加できるような仕組みが必要である」と会場に語りかけました。

「日比市民セクター間のパートナーシップの構築と政治の役割」
広中和歌子氏(参議院議員(当時))
広中参議院議員(当時)は、「ODA予算が削減されるなか、ODAの質の向上のためには住民と身近で活動するNGOとの連携が必要であり、国際協力の中でのNGOの役割は大きいものがある」と、NGOへの期待を語りました。
<パネル・ディスカッション:NGOは期待される役割をどのように果たせるか?
NGOの役割と日比両国市民セクター間の協働>

司会 東京大学教授 吉田恒昭氏
日比NGO関係者3名と外務省から1名をパネリストとして迎え、パネル・ディスカッションを行いました。パネリストは日比のNGO間の協働や、NGOと行政・産業界との協働事例を紹介し、日比のNGOが目的とする貧困削減・社会開発に向け、NGO間やNGOと他のセクター間でパートナーシップを構築する意義について考える場となりました。とくに、外務省からのパネリストは、「対比国別援助計画に"NGO"という用語が6箇所使われており、それはフィリピン国のNGOの能力を認め、NGOとの連携の必要性を認識したものである」と説明され、今後、援助計画を実施する上でのNGOの役割が強調されました。
<7月17日午後、18日午前 日比NGO関係者会議
分科会1:分野別協議~協働の現状と課題と将来への展望>

日比NGOが分野別のグループ:「子どもの教育」、「子どもの健康(母子保健)」、「農村・農業開発」、「少数民族」、「平和構築」、「在日フィリピン人(特別分科会)に分かれ、協働の現状と課題、さらに将来への展望について意見交換を行いました。
1日目は本会場で、2日目は分科会ごとにNGO事務所やJICA本部などに訪問して意見交換を行いました。各分科会とも、活発な意見交換と情報交換ができ、双方のNGOにとって、相互理解と知見を深めるものとなりました。また、今後の必要な方向性についても話し合うことができました。
<7月18日夜開催 特別分科会「在日フィリピン人の現状と課題」>

6団体・個人より、在日外国人労働者の直面する問題と支援活動について発表がありました。「低賃金などの劣悪な労働環境」「生活面での不便さ」「労働者自身の認識の違いや知識不足」などの課題が挙げられ、在日フィリピン人労働者数名が自らの苦しい現状を会場に訴えました。日比NGO関係者にとって、問題を理解し、支援活動の重要性を認識する機会となりました。[一般参加者を含め約80名の参加]
<7月18日午後 分科会Ⅱ:「日比NGO協働基金」構想と日本のODAと民間資金>
外務省国別開発協力第一課から担当官を迎え、「対比国別援助計画」の説明を受けた後、日比NGO参加者との活発な質疑応答、意見交換を行いました。[日比NGO関係者約80名が参加]
<7月19日午前 公開セミナー「フィリピン人と家族の絆-コトブキ、デカセギ、コクセキ-」>
「東京フィリピン研究会」と共催で行った一般公開セミナーの第一部では、映画「DEKASEGI」上映と監督のレイ・ベントゥーラ氏の講演、第2部では、在日フィリピン人支援を行うNGO関係者2名を加え、「在日フィリピン人の現在と子どもたちの未来」をテーマに、パネル・ディスカッションが行われました。会場からは、「NGOと行政が連携する必要がある」などの意見が寄せられました。また、参加したホァン・フラビエ フィリピン共和国前上院議員は、フィリピン側における根本原因の解決に向けた努力が必要であると述べました。
[一般参加者含め約130名が参加]
◆第2回日比NGOシンポジウム2日目(2008年7月19日)
<7月19日午後 日比NGO関係者会議と閉会式>

過去3日間の総まとめとして、分野別分科会でまとめられた意見や提言内容の発表と、「日比NGO協働基金」構想検討会からの報告を行いました。最後に、日比NGO間で合意された「東京宣言」が発表され、会場での議論の後、同宣言が採択されました。
〔*本シンポジウム開催にあたっては、次の団体・個人より資金助成を受けました。
(財)MRAハウス、(財)大竹財団、(社)東京倶楽部、立正佼成会一食平和基金、Peace and Equity Foundation、 Ramon Aboitiz Foundation、 AY Foundation、主催団体JPN会員・関係者〕